飴玉感覚
03
浮かんでは消えていく泡沫の様なもの。
彼はサイトをそんな風に理解した。
居心地の良いところだって、永遠にあるとは限らない…
彼はそれに、一抹の寂しさを感じた。
彼は空飛びを体験できるところへやってきた。
作り物の空、作り物の風。
それでも、必死になって空を作りだそうとしている痕跡があった。
「このマシンに乗って、空を飛んでください」
そんな説明があった。
そんなマシンがなくても僕は空を飛べる。
彼は空を飛んだ。
管理人の慌てた顔が目に入った。
「だめじゃないか、ルール違反だぞ」
「ルール?そんなもの知らないよ」
「だめだ。お前は改造者か?」
「改造なんかしてないもん」
管理人はいぶかしげに彼を見ている。
「とにかく、マシンを使わなくちゃいけないんだ」
「ふんだ、けち」
彼はしぶしぶ言葉にしたがった。
それでも、だ。
マシンに乗って見る風景は絶景だった。
遊園地のアトラクションのようなものなのかもしれない。
決まったコースを通る間、色々なものが見えるような…
彼は退屈してきた。
「やーめた」
彼はマシンをほおり出すと、風景の中を飛び回った。
風景の裏側が見えた。
どうやら張りぼてのような物らしい。
彼は一気に興ざめした。
「こんなの見せてるなんて…趣味疑っちゃうよね」
彼はあたりを見回した。
すると、建設中のドームをみつけた。
管理人が何か怒鳴っていたが気にすることなく、彼はドームへと近づいていった。