飴玉感覚
10
彼は熱帯雨林を抜けた。
そこは山道になっていて、海へと続く道になっていた。
懐かしい感じがするなと彼は思った。
ずっと前、こんな風に海に焦がれて、海へと続く道をたどったような気がする。
海。海に行きたいと彼は思った。
彼は山道を歩いた。
飛べることは出来るが、歩きたかった。
すると、道のはしっこの方に老婆をみつけた。
彼はその老婆から鳥篭を一つもらった。
「これを使えば戻れるんだよ」
どこに戻るとも、どう使うかも言われなかったが、彼は何となく納得した。
彼は更に歩いた。
疲れはなかった。
夢と同じようなものだから。
吊り橋も渡った。
吊り橋からおっこちても、雲が受け止めてくれるから安心だった。
雲はフワフワしていて、まるでマシュマロかわたあめのようだった。
自分はネットワークを飛びまわれる。
飛び回れるが、受け止められるのもいいなと思った。
彼は洞窟に入った。
洞窟を抜ければ海だ。
波の音が微かに聞こえる。
自然と足が早くなる。
そして、洞窟の出口が見えたその時、彼は出口に人影を見た。
「いたぞ!」
その一言で人影は何体も増えた。
「Candyだ!」
追われていた。
もう少しで海なのに、あと少しだったのに。
彼は鳥篭を振り回した。
すると、視界がぼやけ…
また視界がはっきりしたときには、彼は山道の入り口にいた。
自分は海に行けなかった。
彼は海を諦めると、またどこかに飛んでいった。