飴玉感覚
11
彼は別ルートから海を目指すことにした。
自分は海に行きたい。
今はっきりとそう感じていた。
ルートを検索する。
密林からの山道は、「敵」が封じてしまった。
「敵」…彼を敵視するもの全部。
もともとは彼がまいた種なのかもしれないが…
彼はその事に気がついていない。
何度かルート検索をし、彼は一本の道を見つけた。
八卦池を経由するルート。
「はっけいけ」というものがどういう物かわからないが、
取り合えずそこを通れば海に行けるのだろう。
海に、海に。
彼は八卦池のアドレスをいれると、ダイブした。
延々と続く、海の底のような視界。
それがものすごいスピードで進んでいるような感じ。
上へ、下へ、視界が振られて…
突然視界が開けた。
彼は池の下にいた。
池の水は澄んでいて、上から覗き込む老人の姿が見えた。
池から上がろうとするが、どういう訳か、上に上がることは出来なかった。
「ゴーストでござろう…」
上から老人の声がした。
「海を目指すものよ…己の思うように飛ぶがよい…」
不意に身体が軽くなると…
池の水面がどんどん遠ざかっていった。
水面は上に遠ざかっていくのに、自分はまるで浮遊しているようだった。
思うように、飛べ。
彼は老人に言われたように、思うままに飛んでみることにした。
海を目指して。