斜陽街で逢いましょう
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電脳娘々という電脳娘がいる。
彼女は電脳中心という、斜陽街では珍しくハイテクな店を構えている。
電脳にまつわる相談事を主に受け付けている。
検索だってする。
意外と、オールマイティーだ。

でも、普段は暇である。
斜陽街に迷い込む電脳系が少ないのもあるし、
斜陽街に電脳相談を持ち掛ける者も少ない。
そんなわけで、電脳娘々は趣味に没頭する時間が多かった。

趣味、電脳を肌で感じること。

電脳のコードと娘々の神経は一体化している。
特殊な手術という説もある。
特殊な体質という説もある。
そんな事はどうだっていい。
とにかく、娘々は神経を使えば電脳にアクセスできる。
古いサイバームービーのように。

キーボードは煩わしいので、しばらく前にごみ箱に行ったらしい。

そんな娘々が最近注目していることがある。
飴玉ネットワーカーである。
最近出てきた新しいネットワーカーである。
情報をゆっくりと溶かし出していただいてしまうという、
一種のハッカーだかクラッカーだかである。

「子どもみたい…」
彼女はそんな印象を持った。
娘々の年は定かではないが、間違いなく20は越えているだろう。
そこから見た子どもとは…
娘々は一体何を見たのだろうか?

某月某日。
娘々はとある飴玉ネットワーカーを追う事になる。


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