斜陽街で逢いましょう
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娘々はネットの海を泳ぐ。
煩わしい事もあるが概ね快適だ。
彼女は飴玉ネットワーカーを探す。
或いは彼女の肉親を捜すように。

どうして娘々が飴玉ネットワーカーを探すはめになったか。
実は数日前、妄想屋の夜羽から依頼があったのだ。

「夢渡り?」
「そう、夢渡り。夢・幻・妄想そんなのを渡り歩く者の総称さ。聞いた事ない?」
「んん…きいたことない」
「そっか、じゃ、覚えといて…それで、夢渡りを、保護してもらいたいんだ」
「保護?」
「そう、あちこちの妄想に現れていくんだ。ちょっと、あぶなっかしくてねぇ…そのうち妄想に食われるんじゃないかと思ってね」
その夢渡りが結果、飴玉ネットワーカーだった。
娘々は夜羽の話の時点では大して興味を持っていなかったが、
少し痕跡に触れてみて、いたく興味を示した。
「子どもみたい…」
守ってあげたいと思った。

母親の持つ保護欲のような物かもしれない。
あまり純粋に守ってあげたいとは思っていない。
娘々は自分をそう分析している。
まず最初は興味。
そして、欲。
恋愛に似ているがまったく別の感情。
やはり、少し歪んだ保護欲なのかもしれない。

娘々は痕跡を追って、あるサイトの跡地へやってきた。
まだ新しい痕跡がある。
ログも残っている。
「ここで休んでいったのね…」
今追えばまだ間に合うように思われた。
けれど、飴玉ネットワーカーは神出鬼没。
次にどこに行ったのかなんて見当もつかない。
こんなところじゃ目撃情報もない。
実質、振り出しへ戻った。

娘々はそこで探索を一度打ち切ると、斜陽街へ戻ってきた。
少し散歩でもすれば気も晴れるかもしれない。
彼女はふらりと街へ繰り出した。


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