斜陽街で逢いましょう
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娘々が電脳中心に戻ると、メールが届いていた。
知り合いのサイト管理人からだ。
飴玉ネットワーカーが出たらしい。
娘々はゴーグルをかぶると、ネットのなかにダイブした。

「まるで子どもですね…」
管理人はそう言った。
「何が悪いのかまったくわかっていないんですよ…それでいてスキルがあるから…」
管理人は大きく溜息をついた。
建設中の大きなドーム。
このサイトは空を体感できるのが売りらしい。
飴玉ネットワーカーはここに現れ…アクセス制限をかけられたらしい。
「フリーズしちゃったお客もいましたしね…」
「そんなにイタズラしていったの?」
「ええ…ひどいもんですよ」
「ふぅん…」
幸い、フリーズしたお客はすぐに復旧したらしい。
それでも、飴玉ネットワーカーの所業と聞き、腹を立てているようだ。

娘々はアクセスログを洗った。
確かに不正アクセスの痕跡がある。
まだ、会員にしか開いていないところに入ってきたのかもしれない。
「早く保護しなくっちゃな…」
「保護?」
「うん、Candyを保護してって頼まれているの」
「なら早くしてくれないか?こんな被害がもっと出る前に!」
「うん」
娘々は気のない返事をした。

飴玉はどこへ転がっていったのだろうか。
またどこかで迷惑をかけているのかもしれない。
どこかで踏み潰されているかもしれない。
どっちにしろ、いいイメージではない。
早いところ保護しないと…

「ログ、ありがとう」
娘々は管理人にログを渡した。
「これからどこへ?」
「鳥篭街へ行ってみる」
「Candyはそこに?」
「んーん、ただの勘」

娘々はネットの空を飛んだ。


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