斜陽街で逢いましょう
37
娘々は熱帯の植物が生い茂るところへやってきた。
ここに飴玉が出たという情報を得たからだ。
娘々はゆっくりと飴玉の軌跡を追ってみることにした。
まず飴玉は軍同士のぶつかる密林を抜け、
古ぼけたビルで「彼女」と接触した。
目撃者の情報だと、会話はなかったらしい。
「彼女」は無言の賢者とも、真理とも呼ばれている。
全てがそこにあり、また、そこには何もない。
多分どちらも真実なんだろう。
そうして、彼女の両親はその事を何も知らない。
だからいつも隠されている。
「もったいない…」
娘々はそう思った。
飴玉は彼女に逢い、
密林を抜けて山道に入った。
ログから察するに、鳥篭を買って、海を目指したんだろう。
吊り橋を渡ったり、洞窟に入った痕跡があった。
「彼もまた海を目指していたんだ…」
そうして海に出る直前、彼は見つかってしまった。
Candyを敵視する輩に。
そこで鳥篭を使って逃げた。
概ねそんなところだろう。
彼もまた海を目指していた。
多分彼自身何に惹かれて海を目指しているかわかるまい。
娘々は何となくわかる気がした。
彼は安らぎの場所を求めている。
安らぎを他人に求めればすぐなのに、
他人を…特に大人を信じていない。
信じたい幼子。
守ってあげたいと娘々は思った。
次はどこで逢えるだろう…
ころころ転がる飴玉に。