テラコッタ色の屋根の下
04
ナナがいなくなった。
その日は何の前触れもなくやってきた。
イチロウがいつものように家に帰ると、そこには生活感が何もなくなっていた。
洗濯物はきちんと片付いていた。
キッチンも整然としていた。
まるで、新築の家の中を誰もいじっていないかのような状態になっていた。
ナナはいなかった。
当然、イチロウはナナを探した。
誰もいないかのような家の中はもちろん、
行きそうなところはしらみつぶしに当たった。
それでも見つからなかった。
その知らせはすぐにアキのところにも来た。
キリエが息を切らせながら伝えてくれたのだ。
キリエは必死だった。
大好きな人を探すため。
イチロウはそれ以上に必死だった。
愛する人を失いたくないため…
アキは、暗い気持ちを抑えながら捜索に参加した。
ナナさんがいないままなら、もしかしたらイチロウは自分を見てくれるのではないだろうか…
そんな暗い気持ちを抑えていた。
イチロウはナナを愛している。
イチロウの表情を見ていると、アキは割り込めない自分を感じた。
メンバー達の必死の捜索にもかかわらず、ナナの行方は知れないままだった。
たまりかね、捜索願いもだした。
某月某日、ある日突然
ナナはいなくなった…