白の空
01


空は遠く高く。
雲は白く、空は青く。
風は草原を波打たせ、ぽつりぽつりと転がっている岩を優しく撫でていった。

ギアビスはそんな岩の一つに腰掛けていた。
ここは草原と岩の島。
他に存在するのはこのギアビスという人物と、彼の家くらい。
ギアビスはそう信じていた。

白のローブ、短く癖がかった白い髪。
顔つきは幼く、そばかすが点々としていた。
ギアビスはそんな格好でぼんやりとしていた。

彼はこの島で先祖の教えを守っていた。
曰く、ギアビスの家系は知の探究者の家系である。
先祖代代伝わる知を吸収したら、新しい知を求めて旅に出るように。
そう、教えられて育った。
彼の家にはそんな知が…書物が山のようになっており、
彼はそれを友として育った。

ギアビスは人…他人を知らなかった。
唯一知っていた人物は、彼の祖父だったがそれも彼を残して死んでしまった。

だから、ある日突然草原に現れた男は、彼をびっくりさせるに値した。
彼は左腕をなくしていたが生きていた。
左眼もなくしていたが、出血はなかった。
そうして、倒れていた。

ギアビスは、サイボーグ作成の知識を持っていた事に感謝した。
先祖や血族に、感謝した。


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