白の空
04


穏やかな日が過ぎていく。
レオンははじめこそ焦っていたようだが、
次第にこの島に流れるゆったりした時間に馴染んでいった。
「何かが足りない気がする」
それがここ最近のレオンの口癖だった。
「そりゃそうだ。身体のパーツも記憶も無かったんだから」
ギアビスは笑いながらそんな言葉を返した。
そうは言われても…
レオンは何か欠落した感じが常にあった。

ギアビスとともに、一族の資料を読んだり
ぼんやり惚けたり
或いは自給自足に近い畑を耕したり。
そんな日々がまた何日か続いた。

そしてまたある日。
ギアビスは妙な機械をこしらえた。
満面のの笑みをたたえて、差し出したそれは…
妙な板、そしてその端には妙な筒がくっついている。
「一族の英知を集めて作ったんだ」
ということは、すごいものなのだろうが、妙な板にしか見えなかった。
「…で、これは何が出来るんだ?」
レオンが問う。
「外に出てよ、見せてあげる」
ギアビスは駆けていった。

ギアビスは草原の中、妙な板に乗った。
レオンが見守る中、ギアビスは足でスイッチらしい物を踏んだ。
板を中心に草が放射状になびく。
ギアビスが板とともにふわりと…うかんだ。
「こうして…ここを…」
ギアビスが体重のかけかたを変える、板が斜めになる…と
ぐらっ…
「あわわ」
ばすっ。きゅるるるる…
ギアビスは草原に尻餅をつき、妙な板は、妙な音を立てて止まった。
「いててて…」
「おい、大丈夫か?」
レオンが駆け寄る。
ギアビスは照れくさそうに笑うと
「へーき。でも、失敗しちゃった」
と、返した。


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