白の空
05
「失敗?」
レオンはギアビスが何をしたかったのか、よくわかっていないようだった。
ギアビスもそこに気がついたらしい。
妙な板を拾い上げると、多分、成功するまで黙っているはずだった、板の秘密を話し出した。
「これはね…空を飛ぶ機械なんだ」
「空を?」
「うん、空を」
ギアビスは空を見る。
空はいつものように、青く青く澄み切っている。
「翼がなくても空が飛べるように。技術で空が飛べるように。そういう機械のはずなんだ」
「機械…の、はずか」
「それが僕の見つけた事。君と一緒に空を駆けたいんだ」
ギアビスは微笑んだ。
それから…一日に数度、ギアビスは尻餅をついた。
改良はなされているので、だんだんうまくいくようにはなっているのだが…
それでも、空を駆けるものにはなっていなかった。
「僕がうまくいったらレオンの番だからね」
ギアビスはそう言っていた。
「飛べなくちゃ意味がないんだ…」
レオンと生活して、ギアビスが空に執着して…
何日もたったある日。
ギアビスはいつものように妙な板を乗りこなさんとしていた。
レオンが見守る中…板はふわりと浮き上がり…
かなり高くまで浮かび、ギアビスはそこまで乗りこなせているようだった。
と…突然の突風。
「うわぁっ」
ギアビスはバランスを崩してさかさまに落ちる。
この高さでは尻餅では済まない。
ギアビスを守りたい。
レオンは考えるより早く、駆け出していた。
結局、ギアビスはレオンを下敷きにして助かった。
レオンは半分機械のサイボーグ。目立った外傷はなかった。
どうしてギアビスを守りたいと思ったのか。
レオンはわからなかったが…
「ありがとう」
と、困ったように笑うギアビスを見ていたら、
なんとなく、とっさに取った自分の行動が、間違っていないなと感じた。