「では、いただきますね」
少女は君の心臓の上に手をかざした。
かざされた手と君の間にオレンジ色のカプセルが二つ生じた。
君はにわかに寒気を感じ、体を大きくブルっと震わせた。
少女はそれをみると、
「やっぱり恒温動物って便利ですよねぇ…カロリー使えばどんどん熱を作り出せるんですから…」
少女は君からもらった『熱』をガラスの器に仕舞うと、
「約束通り、情報ですね。夜羽さんのテープは盗まれました。だから、夜羽さんの行動範囲で探しても出てくる可能性は少ないです。斜陽街のディープへと行ってみれば何か分かるかもしれませんね」
ディープ?と君が聞き返すと、
「情報はここまでです」
と、少女は悪戯っぽく笑った。
「ぬくもりが欲しくなったら、また来てくださいねぇ♪それ相応の物さえいただければ、いくらでもぬくもりあげますから」
熱屋を出ていく君を、少女はそうして見送った。
とりあえず斜陽街を歩く