「壊した!お前が壊した!」
「お前が僕を壊した!」
「ひゃはははははははははははは」


唐突にマネキンの口が開き、大声でそれだけ喋ると、
また、クテンとマネキンは黙ってしまった。
君は呆気に取られた。

「それはびっくり人形というのですよ…びっくりしてくれましたか?」
路地の入り口から初老の男が姿をあらわした。
「ジェームス。戻っておいで」
男が命じると、マネキンはぎこちなく動き、男の手に戻った。
男は人形を手早く解体すると、鞄に仕舞い、去っていった。

マネキンのいたあとには、壁に人が一人通り抜けられるくらいの穴が開いている…


穴をくぐってみる

穴は放っておき、斜陽街を歩く