君は苦いコーヒーを注文した。
「ま、順当な線だな。俺もそのイメージで売っているクチだしな…」

男はギターを爪弾きだした。
懐かしいような、悲しいような音色…

アキが俺の太陽だった…
太陽はどこかへ行ってしまった…
俺の手の届かない場所へ…飛んでいってしまった…
アキがいない…でも、どこかにいる…
信じなくては…悲しすぎるから…

男が即興の弾き語りを終えた。
「約束だな。妄想テープのありかと噂されるのは…というか、妄想テープを盗んだらしいとされているのは…斜陽街のディープで店をやっている神屋の主人だ。結構確かな筋からの情報だ」
男は店員を一人呼ぶと、
「裏口を通してやってくれ」
と、頼んだ。
ピエロの顔をした店員は頷くと、
「どうぞこちらへ」
と、君を促した。

「ここの裏口はディープの入り口でもある。神屋を探しな…」
そして君は喫茶店の裏口を抜けた。


とりあえずディープを歩く