カタナの目


カタナはハンマーのそばでたたずんでいた。
ハンマーは、町の電気の入り口に当たる場所。
一番下の階層で、いつも化石を発掘している。
カタナはそこにたたずんでいる。
邪魔をするわけでもなく、干渉するわけでもなく。
ただ、ハンマーのいるそこは、風が入る。
武士として流離っていたカタナには、風があるほうがなじむ。
電波の充満した町の中とは、やっぱり外は違う。
町の連中はなかなか感じないのかもしれないけれど、
カタナは外のものだから、そういうことには敏感だ。
そして、電波が最近調子はずれなことも感じている。
何があったのだろうかと、カタナは考え、やめる。
刀は考えない。
カタナは今、この町の傭兵であり、この町の少ない武器の一つだ。
金は払われるかわからない。
では、なぜこの町に雇われたか。雇ってくれと申し出たか。
カタナは空を見る。
国の戦艦が見える。
空というものは青く澄んでいるというのに、無粋だとカタナは思う。
戦艦ミノカサゴが、カタナの、天狼星の町の、遥か上空を飛んでいる。
それは泳ぐように、飛ぶように。
機械でできた魚類の形をした戦艦。
カタナは考える。
ああいう悠然としたのをひっくり返したい衝動。
英雄になるわけでもない、ただ、物事をひっくり返してみたい。
だから多分カタナは、この町の傭兵になった。
そう考える。

ミノカサゴは大きく、
天狼星の町の近くを飛ぶ。
空中線がびりびりとなる。
威嚇のつもりだろうかとカタナは感じる。
やがて、着陸地点を見つけたミノカサゴはそちらに向かっていく。
ごうんごうんと特徴的な動力音を立てながら、
ミノカサゴは高度を落としていく。

やがて、あたりはまた静かになる。
そして、制服をまとった軍人がやってくる。
カタナは斬ってもいいものだろうかと考え、伝令だと気がつく。
国からの伝言を預かっているのだろう。
カタナが預かってもいいものだろうか。
伝令は告げる。
オトギというものがじきにやってくると。
しかるべき手段で交渉すると。
それだけ告げて、伝令は去っていった。

しかるべき交渉。
場合によっては、カタナはひっくり返そうとたくらむ。
そういうものが一人くらいいないと、面白くないと、カタナは思う。


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