のらねこ
甘い声色餌をねだって。
おこぼしもらえばそれで上等。
だってあたしは野良猫だもの。
生きていくにはそれしかない。
かわいい子猫が４匹生まれた。
あたしはこいつら養わなくちゃ。
だってあたしは野良猫だもの。
オスはとうにどこかへ行った。
人間にも絡んで見せて。
ほぅらこいつはいいかもだよ。
だってあたしは野良猫だもの。
子猫にそれを見せ付ける。
だってあたしは野良猫だもの。
ずっとずっとそういい続けて、
どこかの家の軒下にうずくまる。
その家の人間は、
あたしたちを追い出さない。
何であたしは野良猫なのに？
人間の考えることはわからない。
子猫がにぃにぃ鳴き出した。
そろそろお乳をあげる時間。
だってあたしは野良猫だもの。
メスである前に子猫の母で。
「あんたもたいへんなんだね」と。
よくわからない人間のせりふ。
だってあたしは野良猫だもの。
あんたの同情なんて受けないさ。
今日もどこかの軒のした。
あたしと子猫がいついてる。
だってあたしは野良猫だもの。
でも、この子達が一人前になるまで、
家猫でいてもいいかなと思う。
甘い声色餌をねだる。
あたしは母親。
がんばるさ。