ある弟子


ここに、ある男の子がいる。
金髪で青い目。小柄な男の子だ。
職業弟子。

弟子は修行をしている。
感覚を使う修行だ。
どれを残して、どれを使うか、
周りに漂っている、「精」のようなもの。
「精」のどれを残して、
どう使うか。
弟子は慎重に考える。

弟子は青い目を見開き、
感覚を追う。
「赤を薄めるかな…」
弟子が感じたのは、
他にもいろいろあっただろう。
ただ、弟子は、赤を薄めることだけを口にした。
「精」はいろいろ漂っていて、
はたから見れば何もないように見える。
それでも、弟子は見える。
ある程度感じることもできる。

弟子は、かばんから、棒のようなものを取り出す。
「タグ開始!」
弟子が宣言すると、そこにふわりと光が生まれる。
「タグ属性…フレーム!」
言いながら光の灯った棒を揺らす。
音もなく、光が揺れる。
光は指揮するように、光の輪を描く。
弟子は光の中に「精」を囲むような感覚をつくる。
感じる感覚。
赤を取り囲む。
弟子は、ピン!と光の棒を払った。
「スラッシュ!タグ終了!」
光が、赤の光に変わる。
そして、コロンと石ころのようなものが転がった。
弟子は赤い石ころを拾う。
「よし、あとはこの空間のお酒を作るだけ」
弟子は石ころと棒をかばんにしまい、
瓶を一つ取り出す。

「酒屋の弟子として、恥じないものを作らなくちゃ」
酒屋の弟子は酒瓶を持って、集中した。
できばえは、酒屋の主人が知っている。
斜陽街にいるはずだ。


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