遊園地


それは古い古い遊園地。
小さな観覧車とか、
ゆっくり走るコースターとか、
木馬の少ないメリーゴーランドとか、
本当に小さな古い遊園地。

やがてそこは壊されるという。
やってきたのは大人たち。
子どもの頃の思い出を抱えて、
小さな遊園地にやってきた。

子どもは一人もいない。
大人だらけの、
大人のための遊園地。
遊園地の池で噴水が、勢いなく水を放っている。
何もかもが時代遅れで、
そして、ここから消えようとしている。

思い出の中だけの世界。
大人は瞬間子どもに戻る。
輝いていたあのころ。
過去に輝きを求めてしまう、悲しい現象。
子どもは一人もいない。
遊園地に子どもは一人もいないのに、
歓声が上がっている。
大人の思い出による、
子どもに戻るという不思議な現象。

やがて遊園地はなくなるという。
小さな小さな古い古い遊園地。
子どものいない遊園地。
そして、思い出の中だけの遊園地。


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