いつのまに
いつのまに、そんなにえらくなったのですか。
わたしという人は、
いつのまに、そんなにえらくなったのですか。
わたしは人を評価できるほど、人を知りません。
限られた視界から見える、少ししか知らないです。
それをもって人を評価、ひどいときは否定できるほど、
わたしはえらくありません。
そう思わなければいけません。
わたしは世界を知りません。
何も知りません。
えらくありません。
何も知らないということを、
ちゃんと知っておかなければいけません。
限られたこの世界には、
えらくなるための要素はなく、
ただ、普通であるための日常が流れているに過ぎません。
普通であるという、限られた世界の壁。
それは多分いつのまにか、
わたしの周りに張り巡らされているものなのでしょう。
そして、そういう壁をどうにか越えられた人は、
何かが違って見えるのかもしれません。
壁の中の世界は狭く、
降ってくる情報は、世界とつながっていると錯覚させます。
それは決してえらいことではありません。
ただの情報に過ぎません。
えらいことではありません。
他人より上の立場にあることではありません。
一部を見てすべてを知った気になるなと。
壁の中のわたしは自戒をしようと思います。
わたしはまだ壁が壊せません。
いつのまにか、多分自分で作った壁が、
まだ壊せないでいます。
壁の隙間から、
見える景色に心躍らせて、
壁を打ち壊した道化のような人たちに、あこがれる日々が続くのです。
口先ばかり、彼ら道化を否定していることを言ってみて、
ああ、そんなにえらくないのにと、
自分を嫌いになる日々が続くのです。