あめだま


パワーをくれ。
誰にも負けないパワーを。
そう念じて飴玉をがりりとかじる。

飴玉はパワーなんてくれない。
多少のカロリーとかはあるかもしれないけれど、
それまでかもしれない。
それでも、この世界には、カロリーとは別のパワーがあって、
飴玉はそこに作用して、パワーをくれるものと僕は信じている。
だから僕はそんなときに、
飴玉をがりりとかじる。

僕は戦っている。
何と戦っているかは別に何でもいいんだ。
君も何かと戦っているだろうし、
敵は大きなものから小さなものまで、
多岐に及ぶかもしれない。
世の中認めなければみんな敵だし、
敵が多くて味方が見えない。

戦いだらけの毎日で、
パワーが不足するときがある。
そんなときにこそ飴玉。
その飴玉ひとつでまたがんばれる。
飴玉ひとつで、何もかも吹き飛ばすような、
必殺技が出る、わけではないけれど、
もうひとつ、展開させる何かが思いつくかもしれない。
あとから思い返せば、
そこから何かが変わっていくことになるのかもしれない。

飴玉をかじる僕は、
別に英雄でもなんでもない。
ただ、世の中を流れていく一人に過ぎない。
その一人にパワーなんていらないというのは間違いで、
飴玉のパワーでも、必要なことは必要だ。

平和の印、甘い飴玉のパワー。
がりりとかじって、またがんばろう。


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