そのていど
その程度のものを、あなたは愛した。
悲しいほど弱くて脆くて儚い、
そして、価値がないと決められている、
その程度、それをあなたは愛した。
愛で価値がひっくり返るわけではない。
あなたが愛したところで、
何も変わりはしなかった。
状況を変えられる強さもなかった。
では、強さがあれば全ては好転をしたのか。
愛が全てを語りつくせないように、
強さがあれば何もかもが変わるものでもなかった。
そして、あなたは弱さを愛した。
価値のない、その程度のものと、
あなたは戯れ、あなたは遊ぶ。
子供のようだとよく笑われる。
地に足のつかない、夢見るようなあなた。
それを愚かだと笑うのは、とても普通のことだ。
普通で、まともで、とてもまっとうだ。
あなたは今でも笑っているだろうか。
その程度のものを愛したあなたは、
もう、価値のないことに気がついているだろうか。
あなたが悲しむのはあまり好きでない。
けれど、その程度のものであると早く気が付き、
その程度のものを、ちゃんとその程度だと認めて欲しい。
弱く脆く儚く、価値のないもの。
泣きたいくらい価値のないそれは、
多分私自身でもあるのだろう。
やっと、まともに、
価値のないものになれる。
その程度なんだ。
最初から、ずっと。