道を行く人
たしかに。
道を切り拓く人は偉い。
勇気がある。
そう思うのだけど。
もう一つ考える。
道を切り拓いたあと、
道を踏み固めていってくれる、
無名の、無数の、続く人たち。
後に続くことを選んだ無名の人。
そこからまた、別の道を作るかもしれない人。
作らないかもしれないけれど、
ひとつの道を確かに踏み固めていってくれる人。
なんでも。
たいていの道を作るのは、大変なことだ。
道路と言うのもそうだし、
武道だって、芸の道だって、
最初だけでは続かないと思った。
今残っている道というものは、
たくさんの人の足跡でできていると思った。
足跡には名前なんてない。
無数の足跡が、
道をよりよいものにしていっている。
道を作った人。
道に導いてくれた人。
道を歩く人。
道で休む人。
みんなでひとつの道にいて、
ひとつの道は枝分かれや交差点があって、
いくつもの道とつながっていて、
道に立つ人はそれだけで、
道をひとつ、踏み固めていると思った。
立つそこが信じた場所ならば。
歩くそこが信じた場所ならば。
道であろうと、なかろうと、
それはあまり関係がない気がした。
どの道も、きっと、あなたの足跡を待っている。
どこにいっても、いいんだと思う。
道を行く人。
あなたも。わたしも。