うるさい孤独


孤独とはうるさい。
静けさの孤独とは違う、
うるさい孤独。
騒々しいのは聴覚だけでなく、
感じるすべてが過剰でうるさい。
そのくせ、すべてが孤独だ。

つながりとか。
絆とか。
ともすれば電子的なそれらが、
そうでなくても、
耳を澄まさなくても聞こえる生活音。
自動車の音、足音、水音、喧噪。
見える聞こえるものがうるさい。

みんなつながっているのは、わかったから。
そっとしておいてくれと思う。
つながらなくていいところまで、
つながりたいと思ってはいないのだから。

つなぎたいのは電子の言葉だけでなく。 触れたいのは、お金で手に入る何かでなく。
数字で表現しづらい、
孤独をいやしてくれる何かが、たぶんほしい。

そっと耳をふさぐ。
耳の中にごうごうという音。
ああ、うるさい。
そして、孤独だ。
目を閉じて、可能な限り感覚を閉じて、
耳にごうごうという自分の音。
今は誰も見ていない。
自分がこんなにうるさいなら、
そりゃいっぱい集まったらうるさい。
みんな誰に向けているわけじゃない。
みんな、鼓動と同じくらい、うるさいんだ。

目を開くと、うるさい世界が広がっている。
手を取り合いにくい世界だけど、
うるさい孤独のこの世界も、生きる場所だ。


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