白い部屋の外


ここは程よく白い部屋。
部屋から外に出れば、普通の家の中。
家族が笑っている。

でも。
実はドアを閉ざすのが怖い。
家と家族とつながっていないと、
全てが切り離されて、
一人でどこか別のところに行きそうで怖い。

いつもいつも、平気な顔をしてドアを閉めるけれど、
白い部屋の中で一人思う。
狂っているわけではないんだろうけど、
明日もドアの外が家であってほしいと願う。
部屋の外が訳の分からない空間になっていたり、
わけのわかる空間でも、
あの家以外は認めたくないんだ。
だから、いつも祈るように。
明日も家であってください。
家族が笑っていてください。

神様に祈ればいいのかな。
当たり前のことが当たり前であってほしい。
これは、誰に願えばいいのかな。

ドアを閉ざしたくない。
家族とつながっていたい。
明日には家族がいなくなって、
ドアの人は密林になっているかもしれない。
明日には家族が別のものに変質しているかもしれない。
あるいは、
世界が滅んで、この白い部屋だけが残るかもしれない。

閉ざされた、この白い部屋。
妄想の中で白い部屋の外はぐるぐると変わっていく。

窓は常に白いカーテンが引きっぱなしで、
外がどうなっているかなんてわからない。

だから。
カミサマお願いです。
明日も家族が笑っている普通の明日をください。
ドアを閉ざさなくていい家が本当はいいんですけど。
お願いです。
家族には笑っていてほしいんです。
この白い家で。
この白い部屋の外で。
明日も、その次も、その次も。

白い部屋の外は、平和で笑顔があふれていてほしい。
白い部屋の中、それだけを望む。


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