法の番人カガミ
カガミは電気街中心によって任命されている、番人だ。
法の番人と呼ばれる職業で、いわゆる警察を想像していただければいい。
番人になるには、人々からの信頼が不可欠で、
なおかつ、治安のために多少の腕っ節のよさも要求される。
カガミは、武術をたしなんでいる。
なおかつ、正義というものを極めてみたく思い、番人となった。
裏銭屋やら、闇電装技師を摘発したこともあった。
でも、と、カガミは思う。
摘発は本当に、正義なのだろうかと。
カガミは彼らに同情しているわけでもなく、
また、彼らを認めているわけでもない。
でも、彼らにも生活があり、彼らの裏には彼らを必要とする人がいる。
人々の味方でありたいとカガミは思うのに、
人々の敵になっていないだろうか。
番人というものはそういうものなのだろうかと、カガミは時々悩む。
カガミは大柄の男だ。筋肉質で、贅肉らしいものは少ない。
心は正義を求めているが、身体ほど図太いわけではなく、時々悩む。
大きな図体と、ぴしっとした番人の格好。
一応制服であるのだが、カガミは時々その格好が窮屈に感じる。
寸法の問題でなく、心のあり方として。
悩んでどうしようもなくなったときに、
カガミはハコ先生の元へと行く。
ハコ先生はいつものように、悩むカガミの話を聞く。
番人が弱音を吐けるのはそういうときだと、
住民もわかっている。
番人のカガミも弱いところがあるのだと、
ハコ先生なら、それをわかって、どうにかしてくれると、
そして、カガミはちゃんと悩みを整頓したら職務復帰ができると。
この町の住民はわかっている。
いつものようにハコ先生に悩みを吐き出す。
カガミはそれだけで救われていると感じる。
番人になる際に証として信頼を示してくれたのは、
他でもないハコ先生だった。
甘えていいのだろうかとカガミは思う。
ハコ先生はいつものように微笑んでいる。
ハコ先生はハコ先生が望む限り、
あるべき道に、導けるとカガミは思う。
カガミもそうやって導いてもらった。
カガミは立ち直る。
法の番人として、身体に見合った根性が欲しい。
そんなことを思ったことは、黙っておく。