一瞬の輝き


夜中。先ほど爆発音が聞こえて、
天狼星の町が大きく揺れた。
何事か起きることは、カミカゼあたりが伝えてくれたが、
いざ起きてみると、やはり驚きはするものだとハンマーは思う。

ハンマーは珍しく夜になっても化石を掘っている。
かなり電気を使うことになるだろうと、
やっぱり、みんなに情報を伝えて回っていたカミカゼから聞いた。
カミカゼは夜の天狼星の町を走り回っているらしい。
倒れなければいいが、と、ハンマーは思う。
みんなの情報を交換するのは、カミカゼみたいなのがいないと、うまくいかないだろうから。

ハンマーは化石を掘る。
夜に化石を掘るのは、視界が暗くてやりづらいだろうと思っていた。
でも、思ったほど視界が暗すぎるということもなく、
化石が掘り出されるのを待っているかのように、うっすら発光している。
ハンマーにはそれも発見だった。

また、ハンマーが石の中から化石を掘り出すと、
うっすら発光する化石が、ちりりちりりと、本当にかすかな音を立てて、
その光が天狼星の町に浮かんでいく。
あるいは、もっと上に行くのかもしれないが、
ちりちりしたその光はとても微かで、
ちょっと視界から外れると、追う事がしにくくなるほどだ。
ハンマーは思う。
電気が、光になっているのかもしれないと。
夜になると電気が見えやすくなのかもしれないと。
ハンマーにとってあまり例のない体験だ。

カミカゼが言っていたな、と、ハンマーは思う。
空を飛ぶものに電気を送る。
そんなことを。
ならば、空のそれに送る準備が着々と出来上がってきているのだろうか。
電気は空に向かう意思を、嗅ぎ取ってちりちり空に向かうのだろうか。
ハンマーが石を叩くと、
ほのかな明かりが一瞬輝き、ちりちりと少しだけ空に向かう。
化石の微かな光は、ハンマーの顔を少しだけ照らし、
圧搾機へといつものように送られる。

電気を空に。
ハンマーは空を見上げる。
ちりちり上に行った光がそのまま浮かぶように、
静かな星が満ちている。
一点だけ、ハンマーは動く星を見る。
あれだろうか。
ハンマーは思ったけれど、とにかくやるべきは発掘。
もくもくと化石掘りを続けた。


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