怪談:はこ


箱の中身は。

さてと。今年の夏の怪談も、
この話で終わりになります。
とっておきがあるわけでなく、
すさまじい恐怖があるわけでなく、
ネジの書きやすいものを書かせていただきました。

もし、来年が許されるのならば、
また、怪談を書きたいかと思います。

最後の題材は箱。

あなたはどんな箱を思い浮かべるでしょうか。
ネジはこれを書きはじめるときに、
おもちゃ箱をまず思い浮かべました。
何でも入っている箱。
わかるものもわからないものも。
何かが混ざっていても、わかりにくい箱。

大人なんかがお片付けを促しても、
最後にはさかさまにして、
おもちゃをぶちまけてしまう子供。
さかさま、そう、今回最初の物語です。
さかさまにして、全部ひっくり返して、
一つ一つお片付けしてきた、
ネジにとってはそういう感じです。

箱の中に、おもちゃのような物語を全部お片付けして、
その中に、ネジが意図した物語じゃないものが混じっていても、
それはそれであなたの心のおもちゃ箱かと思います。

これからもネジは物語を書きます。
ただ最近、
自分が書いたはずなのに、
あとで読むと新鮮な驚きのある物語が増えました。
私の中の誰かが書いているのか、
あるいは…
まぁ、面白いものが読めるのは良いこと。
私が書いて面白ければそれが最高です。

あなたの心に何か残ったでしょうか。
残らなければネジの力不足。
もうちょっと頑張ります。

さて、物語はこうして、おもちゃ箱にしまわれました。
いつかまた、取り出して遊んでください。
怖さの足りない怪談たちが、あなたを待っています。
箱の中身は。
いつだって箱の中身は混沌としていて。
覚えている物語と違う物語になっているかもしれない。

いつかあなたを怖がらせたい。
そう思うのです。
何年かかるかはわからないです。

では、今年の怪談は、これにて。
また別の物語でお会いしましょう。


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