このゲートから
このゲートに集うものは、
たいてい、あの思い出を持っている。
あの思い出とは、あの思い出。
陰界のクーロン城の思い出だ。
数年前。格好も整っていない連中が門を開ける。
この日のために、この世界へやってきた連中。
陰界に再び足を踏み入れたいと、願った連中。
クーロンズゲート。
クーロンの、このゲートから、
また、始まるのだと。
ゲートは始まり。
連中がこの門をくぐって、新しい陰界のクーロンは動き出した。
それから時間は静かに積み重なり、
この世界が終わったなんて、よそでは言われているというけれど、
この町は静かにここにあるし、
ゲートは相変わらずこの町の入り口としてある。
たまには集合した連中が記念撮影なんかして、
記念撮影が何枚も積み重なって、
その撮影に、いつもいる奴、いない奴なんかがあって。
お祭りの集合場所になったり、
ここからパレードが始まったり、
大騒ぎや、愉快なこともたまにはある。
門の近くで特設舞台が組まれたり。
そこで盛り上がる連中がいる。
時は過ぎていき、思い出が重なり、住民も変わる。
変わらない、この町の門。
クーロンのゲート。
思い出が始まり、人が集まり、何かが変わり、変わらなかったり。
起点はここから。
クーロンズゲート。
誰かが作り上げたイメージから、
誰かが受け取って膨らませて、
門の中に不思議な町が広がっている。
さぁ、行こう。
この門をくぐってクーロンへ。
みんなで膨らませた思い出が、
新しい誰かを、古い友達を、待っている。