大飯店


クーロンの入り口。
ゲートをくぐってすぐにある、九龍大飯店。
クーロンにやってきてすぐ、目に付く、
たまり場になりうるところ。
中華的な雰囲気のこの場所で、
初心者同士が、情報交換をしあったり。
あるいは、慣れてきたものがナビをしたり。
この町特有のクエストをこなしてみようという奴がいたり。

いつもにぎわっているわけでない。
この世界がそうであるように、
誰もいない時間のほうが多いかもしれない。
けれど、場所は覚えている。
思い出は染み付いている。
たまに集っては語り合うものたち。
何を語っているのかは、そのときによって違ったけれども、
人のつながりを強化するのに、言葉はなによりもの道具となった。
言葉が全てではないけれども、
言葉が強いこの世界において、
飯店に染み付いた言葉は、
見えないけれども、確かにクーロンに訪れた人をつないでいる。

言語は違うかもしれないけれど、
確かにここで語り合った仲間がいた。
クーロンに入って、不安になっている人に、
かける言葉の優しさ。
たまたま出会えたことの奇跡。

出会いの場、語り合いの場、
クーロンの最初の縁。
「こんにちは」かもしれないし、他の挨拶かもしれない。
挨拶を交わして、ここに集って、
クーロンの仲間ということを覚えた場所。
カウンターも椅子も今でも同じように並んでいて、
ここが出来た当初になかった、ある場所への扉があったりもする。

あなたはあの部屋には行ったかい?
時が止まったままの、あの部屋に。


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