箱物語(仮)46
ルカの端末に記録が入る。
ルカは銀色の端末を開いて記録をとる。
「仕事、ヤンは車を回して!カラットとツヅキは装備課に!」
「了解!」
「はい」
「らじゃーっす!」
待機室がばたばたとなる。
プレートと装備を携えて、
メンバーがヤンの回した車に乗る。
「それで今回は?」
「3番区。ストーカー」
ルカは手短に答える。
「3番区ですね」
ヤンが車道を変える。
「ストーカーっすか?」
「そう」
カラットの問いに、ルカは答える。
「執着して、追いかけて、記録を溜め込んでいる、ですか?」
「ツヅキ、あたり」
「なるほど」
「うえー、きもちわるー」
ツヅキは見られてもいないのに軽くうなずき、
カラットはきもちわりーを連呼した。
「神経探偵に接触したから、そこ経由でシジュウに入ったみたい」
「関わると罪を自供するという探偵ですか?」
「ツヅキ、あたり」
ツヅキは軽くうなずく。
「罪を自供するなら、俺たちの出番ないじゃないっすか」
「そうですね、警察の管轄になりませんか?」
カラットとツヅキがかわるがわるたずねる。
「違法記録で逃げ回っているのよ」
「どういったものですか?」
「プレートの効能は知ってる?」
「はい、一応」
「見えなくなる、だから付きまとう、警察も手出しできない」
「ではなぜ神経探偵に?」
「もっと相手を知りたい。何もかも自分のものにしたい」
「ふむ」
「そして選んだのが探偵だったみたい。超有名の神経探偵をね」
「なるほど」
「かなりの記録を抱えている。場合によっては過去の箱がひどいことになっているかもね」
「止めて展開すればいいんじゃないですか?」
「それもあるけど、今回は縛糸を使おうと思うの」
「ツヅキの?」
「プレートの記録を縛糸で読み込んでくれれば、あとは警察の管轄だから」
後ろの席でカラットがツヅキを小突く。
「困ったら先輩たちがいるからな、まぁ、せいぜいがんばれよー」
ツヅキは軽くうなずく。
3番区に車はやってくる。
3番区の中を、ゆっくり車は走る。
ルカが鋭い目をして町を見る。
「被害者の方の住まいの近くでしょうか」
ヤンが運転しながらたずねる。
「だったらこの近くね」
ヤンが路肩に車を止める。
「プレートはつけた?」
「おっけーっすよ」
カラットが軽い口調で答え、
ツヅキは軽くうなずき、
ヤンもうなずく。
「出るわよ」
風のように彼らが車から飛び出す。
ルカの眼には過去の箱を生やした人の群れが見える。
今回のターゲットは誰だ、
誰にも見えない彼らが疾走する。
ターゲットを目指して。