九龍的日常:5月16日


奇妙なコンビの、
イエローハット&オートバックスバニーは、
露天人形のところへ来ていた。
これはある種の占いもしてくれる人形らしい。

「そもそも、占いとはなんだろうね」
イエローハットが謎かけをする。
「占い。うーん。道標みたいなのかなぁ?」
バニーが答える。
「それでもあるしそれでもない」
「なんだよそれー」
「占いとは、妄想の種に過ぎない物かもしれんよ」
「妄想?」
「黄色帽子の謎かけと同じということさ」
イエローハットはそれで結ぼうとする。
オートバックスバニーは、疑問符をある程度頭に飛ばした後、
「納得できない」
と、不満げにいった。

イエローハットは、
「では、何かはっきりしたものがお好みかね?」
と、問う。
「そういうわけじゃないと思うんだ」
「ほうほう」
「占いってさ…うんとね」
「時間はいくらでもある。君の占い観を聞きたいね」
「うん」
バニーは呼吸をふかく一つして、話し出した。

そもそも、その占いの結果が、
その相談者にあたるのも、
偶然だと思うし、
運命なのかもしれない。
そこから何か始めるのも終わらせるのも、
偶然かもしれないし、運命かもしれない。
僕は神様じゃないからわかんないけど、
妄想の種というより、
偶然引き当てた運命の尻尾、
…みたいなものじゃないかなと思うんだ。

「いやはや面白いね」
イエローハットは、手放しでほめた。
バニーはうつむいてしまった。
恥ずかしいのかもしれない。

「恥ずかしがることはないよ、バニー」
「うー」
「君は雄弁に語れるじゃないか」
「占い語るのは、ここの人形だけでいいよ」
イエローハットはにやりと笑った。
「そう、語るべきが語ればそれでいいのさ」
「そうなの!」
「でも、バニーが語ってもそれはそれでいいのさ」
「しらないしらない!イベントの打ち合わせ、いこ!」

オートバックスバニーは走って行ってしまう。
イエローハットは、笑いながら歩く。
からかっていないけれど、こういう反応が、また、楽しい。
さて、イベントは煮詰まっただろうか。
まだならそれでもかまわないけれど。


次へ

前へ

インデックスへ戻る