満月
美しい満月が夜空を彩っている。
夏ならば、この満月に蛍もいいかもしれない。
冬ならば、なんだろうか。
私は月を眺めながら、思いをぐるぐると。
一ヶ月に一度の割合の満月。
名のない満月であることのほうが多い。
満月であっても見ることができない天気と言うこともある。
だから、美しい満月は、
見ることができるだけでいいものだ。
たとえば。
この満月を見ている私のほかに、
同じ満月を見ている誰かがいて。
それだけでちょっと嬉しくなる。
ネットワークがどうこうでなく、
同じ空を見ているだけで、少し嬉しい。
月が明るくてきれいですね、それだけでいい。
ちょっと遠くの空かもしれない。
言葉なんて交わせないかもしれない。
けれど、美しい月をあなたも見ている。
どこかの誰かも、空を見ている。
それだけで、いいと思うときもあるのです。
満月を突破口だといった人もいた。
あれは、空にぽっかりあいた穴なんだ。
そういわれれば、明るい何かに通じている、
穴に見えないこともない。
明るい未来かな。
明るいどこに通じているのかな。
あの人は、突破してどこかにいっちゃったのかな。
外でじっと月を見るには少し寒い。
あたたかさが少し恋しくなる。
満月の出ている空を、あなたも見ていますか。
少し寒いけれど、
あなたは何をしていますか。
風邪を引かないでください、
突破したそこで、笑顔であってください。
私はここでもう少しがんばりますけど、
あなたは。
世界の裏側ならば季節は逆でしょうか。
ハロー、ハロー、
こちらは少し寒いです。
月を介して思いの衛星中継。
元気ですか、元気ですか。
どうと風が吹く。
月を彩るかのように、桜が散っていく。
元気ですか?
返事は当然来ないけれど、
春のように駆け抜けていく人だったから、
きっと今も、あの人の返事が駆け抜けていったんだ。
ものすごく元気でやっているに違いない。
月は、救い。
どの季節の月も。
大丈夫。この季節もまた、越えていける。
月と桜がきれいな季節。
まだ少し、一人では肌寒く。