セレクトボタンの場合
いいか、俺が切り札だ。
おい、ここだここだ。
俺に気がつかないとは、お前の目は腐っていると見える。
俺は妄人。
セレクトボタンの妄人さ。
何だその顔は。
いいか?俺はセレクトボタン。
俺が切り札ってやつだ。
全てに意味があるわけじゃないなんて語ったやつがいたさ。
そう、俺が妄想の源にしたのは、
ゲームのコントローラー。
年々新しいモデルになるとボタンが増えていったり、
逆に、セレクトボタンみたいに使いにくいものもあったのさ。
でも、俺はセレクトボタンの切り札的なところが好きでな。
そう、あれは秘密兵器なんだ。
全てに意味があるとも限らない。
けれど、意味を見出すのは勝手で、
俺は意味を見出して、セレクトボタンになったのさ。
十字キーの兄貴も、
AボタンBボタンの双子も、
みんなゲームを愛していた。
そして、ゲームをプレイするあんたらのことも大好きだった。
ゲームに意味はあるのかって問われたら、
俺たちだって、どうだかなって言うさ。
問うあんたの求める意味はないかもしれない。
俺たちは意味を見出した。
そこの違いなのさ。
話を戻すぜ。
俺はセレクトボタンの妄人。
俺がいることで、隠れているものが見えたり、
ゲームを有利にしたりすることが出来るのさ。
セレクト、選べってことさ。
俺を選んでなくても、そりゃ、ゲームは普通に進むさ。
それでも、俺を選んで、何かびっくりしてみるか。
人生ってゲームでも俺は使えるから、
まぁ、気になったら俺を使ってみてくれよ。
俺は切り札。
俺を使うと世の中変わって見える、かもな。
選択および使用は自己責任で。
変化が、あんたの求めるものでなくても、
まぁ、それはご愛嬌ってやつだ。
それもあんたが、セレクトしたものだからな。
俺は人、俺は物。
俺は妄人。
妄想の果てに物になりかかっている、妄人。
俺はセレクトボタンの妄人。