頭髪中心


大通りに面して、頭髪中心の店はある。
メイニィという女性が、ミスター・フーの足跡を探しに来ていた。
メイニィはクーロンを歩きなれていない女性。
とりあえず、人を探している最中に、
偶然、ミスター・フーの大きな陰謀を知ってしまった。
大きな陰謀とは、存在しないものを存在させるという。
漠然と、聞いた限りではそういうもの。
メイニィは、それを直感的によくないと思い、
何とかできないかと行動を起こしている。
メイニィは、かつらを売っている店の奥に行く。
階段、そして、行き止まりの地下通路。

「やっぱり、なぁ…」
メイニィはつぶやく。
クーロンの住人である、エイディーが言っていた。
ミスター・フーはたいてい揉み消せるんだぜ、と。
頭髪中心の奥に巨大な地下迷路が、
あったという噂だけをメイニィは聞いていた。
そんなものはなかったのかもしれないし、
あってもただの通路だったのかもしれない。
白髪のかつらが売っていた頃の話とも聞いた覚えがある。
何年も前に、閉ざされたのだろうか。

メイニィはマオニィという姉を探している。
双子の姉だ。
もしかしたら、地下迷路の中に姉がいるのではないか。
閉じ込められてさまよっているのではないか。
メイニィはそんな予感がした。
でも、地下の通路はこうして閉ざされていて、
人の気配なんて微塵もない。

「姉さん…」
メイニィは頭髪中心を後にする。
後ろ髪を引かれながら。


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