フリーマーケット
クーロンの住人のノットマンは、
フリーマーケットの品揃えを見て、
これでもまだまだ空きがあることに、ちょっとため息をついた。
みんなで作り上げたクーロンらしい売り物。
それが並ぶクーロンのフリーマーケット。
大通りの花形ともいうべき場所だ。
ノットマンが思うに、
このフリーマーケットの本質は混沌であると思う。
整然と普通のものが置かれているわけでなく、
クーロンのイメージを暴走された結果のようなもの。
みんなであっちこっちイメージを走らせるから、
それはもう、混沌といわずしてなんと言うのか。
それでも。
エイディーがぼやいていたように、
住民のイメージの中には、核としてのクーロンがある。
だから暴走しようとも、何かの一線は越えないんだと。
エイディーは古株のクーロン住人だ。
そんな彼がノットマンに語ったことがある。
昔はもっと、とんがっていたんだぜ、と。
住民が寄ってたかって、
この世界をクーロンを、育てなくちゃいけないってな。
クーロンらしいってことや、この世界ならではってことに、
がんじがらめになった創作物が、このフリマにも並んでいたものさ。
ノットマンはあまり古いクーロンのことは知らない。
中途半端にクーロンにやってきて、
路人というか、ぼんやりと住民になっている。
家もなければ、店もない。
ただ、会話をし、イベントを楽しみ、そういう立場が心地いいと思う。
今では地下に魚までいる。
まったく、どこまで混沌で自由なんだろう。
ノットマンは思い、苦笑いをする。