風水会議


見習い風水師のシアンは、
とにかくクーロンの、風水師のことを知りたいと思った。
大通りから少し入って、二階。
最高風水会議の部屋がある。
超級と最高は、あんまり意味がないものだとシアンは思った。
まぁ、言葉がかっこいいと思えばいい。

最高風水会議には、
人の姿はとりあえずない。
ただ、指示を渡すモニタがひとつと、道具がいくつか。
そして、先輩風水師の戦歴がひっそりと。
その数の示すところは、クーロンの物の怪と呼ばれるものを倒した数だと知り、
シアンは戦慄する。
数字と名前だけの、おびただしい戦いの痕跡。

シアンは指示を受け取り、
とりあえず、クーロンの町の中でも風水師になった。
いろいろ訊ねたいこととかあるけれど、
モニタはあまり細かいことは語らない。
小さな装飾の少ない刀。
邪気を溜め込むこの刀が、武器だ。

風水師は命をかけた掃除屋だと、
そんなことをシアンは思う。
先輩風水師のような域までシアンはたどり着けるのか。
わからないけれど、
「それなりにヒーローにはなりたいよな」
シアンはつぶやき、苦笑いする。
ヒーロー。掃除屋よりヒーロー。
そっちのほうがかっこいいな。
困っている人を助けたりするとなおいいな。

最高風水会議の部屋で、
シアンは決意する。
できることをする。誰かを助けることをする。
そして、風水師らしく生きる。
漠然としているけれど、シアンなりの正義だ。
風水師らしく。
この町のたくさんの先輩達のように。

シアンは最高風水会議をあとにした。


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