高級剥製


剥製。剥ぎ取った皮に詰め物をして、生きているかのような姿のものを作る。
多少誤解はあるが、そういうものかもしれない。
さて、ここクーロンの剥製屋は、
クーロンフロントと呼ばれたところの剥製屋とは、
趣がだいぶ違うことをことわっておかねばなるまい。
よその剥製屋は、いろんなところがやばいと。
具体的な話はなかなか聞けないが、やばいと。
まぁ、具体的に聞いたらそれはそれで後悔するのかもしれないけれど、
この剥製屋は、フロントの剥製屋とは、別物だと思って欲しい。

ノットマンは、剥製の店に来ていた。
いつも思うけれど、剥製には見えない。
リアルなわけでなく、逆をいっているのだ。
かわいいキャラクターである。
そういうものだといわれれば、そういうものであるかのように。
ノットマンは、剥製屋の動物達を眺め、
ファニーハングアニマルとか何とか、そんな感じのことを考える。
そういう路線のキャラクターもありかなと思う。

ぶら下がっている動物達。
ノットマンは直接は知らないが、
この動物達が逃げたということもあったらしい。
クーロンのあちこちに隠れていたらしく、
それなりの騒動だったそうだ。

「逃げることもあるんだな、お前ら」
ノットマンはつぶやく。
たすけてー、などとかわいい声で言いそうな動物達は、
ノットマンの言葉に答えるわけでない。
ノットマンも、古い住民のエイディーから聞いただけで、
もしかしたら、この動物達が逃げたのも、与太話かホラ話かもしれない。

何が本当にあって何がなかったのか。
見極めなくてもエイディーの話は面白い。
ノットマンは、動物をつついて、噂の騒動に思いをはせる。


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