乗り物


大井路の坂道、少しばかり派手な扉の近く。
位置としては、老人中心にも近い。
そんなところに、メイニィは妙なものを見つけた。

どんぶりに機械がついたような、
どうも乗り物らしい。
ポスターにそうあるのだから、多分乗り物。
なんだろうかと、とりあえずメイニィは思う。
商店街でもなく、ポツリと売られている。
何か特別な乗り物なんだろうか。
例えば…この秘密の乗り物を買うと、
どこかのルートにそのお金が流れるとか。
秘密、そうだ、わかりにくいところに売られているから秘密なんだ。
そして、よくない金の流れに乗るに違いない、
その金は…と、そこまでメイニィは考えて、
「それにしては、安いのよね」
と、首をかしげる。

メイニィ的には、
悪者ミスター・フーが、技術者に作らせて…というシナリオまで考えていた。
しかし、それにしてはあまりにも、稼ぎが期待できない。
もっと、みんなが必要としていて、
高価だけど、買わざるを得ないものでないと、
そうでないと、悪者の金脈としては、さびしいじゃないか。
メイニィは、とりあえずこのどんぶりマシンは、
ミスター・フーとは関係ないものと思う。

存在しないものを存在させる。
メイニィはそれを直感で悪だと思う。
そして、それをやろうとするには、
金が、力が、とても必要になるに違いない。
悪者は、とても力が強いもの。
姉を隠せるくらい力が強いと、メイニィはなんとなく思う。


次へ

前へ

インデックスへ戻る