病院


「さて、バニー」
イエローハットは、クーロンの一角にある病院の前で、
オートバックスバニーに呼びかける。
「そもそも病気とは何かな?バニー」
バニーはまた煙に巻かれると知りつつ、考えて、答える。
「うーん、病むことでしょ?」
「そう、それはどうして病むのかな?」
「んー…ウイルス?」
「違う違う、ミステイク。そうでもあるけれど違うのだよ」
いつもの曖昧にするイエローハット。
「いいかい?世の中には、医者と病み医者がいるのだよ」
「やみいしゃ?」
バニーは聞き返す。
「イエス。病み医者は性質が悪くてね」
「どんな風に悪いの?」
「病気を作っている医者だよ。だから、病み医者だ」
イエローハットはしれっと返し、
バニーはぽかんとしてしまう。
なんだそれは。

「病気作ってもいいことないよ」
バニーはとりあえず思ったとおりに言ってみる。
「そうでもないのだよ」
「そうなの?」
「そもそも病気というものは、医者が治すものである」
「んー、そういわれればそうだね」
バニーがこくこくうなずく。
「さておたちあい、医者に金を払うのは患者だ、病気になれば医者が儲かる」
「ふむ…あ、医者が儲かるのは」
「そう、医者が儲かるためには、誰かが病気にならないといけない」
「それで、病み医者?」
「そう思うかな、そう思えばそれも事実なんだろう」
イエローハットは煙に巻く。

「ここでそんなことを言い出したのは、ここが病み医者だから?」
バニーは訊ねる。
「さあさあどうかな。それもまたミステイクかもしれないよ」
イエローハットは歩き出す。
語ったことで煙に巻いたのも、ほったらかしにして。


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