とりあえずのシステム


とりあえずこの話におけるカルタのシステムについて説明しよう。
カルタ大会は、シングル、ダブル、チームの、
3タイプの戦いがある。
それぞれ、1対1、2対2、3対3のものだ。
それぞれ戦い方が異なり、
シングルで強かったものが、
ダブルでも強いとは限らない。
たとえば、シングルでとことん早く札を取れるものが、
ダブルではその速さを相手に封じられることもある。
一人が札を取る中、
一人、あるいは二人が補佐に回るという戦い方もあるということだ。
ただし、例外がいる。
それがカルタの王子様の存在であり、
3タイプの戦いすべて、ほぼ一人で勝ち進んでしまうのである。
頭数さえそろえればいい。
あとは勝利まで札を取る。
カルタの王子様にはそういう節がある。

今年も春節祭がある。
今年も適当に頭数そろえて、
一人でカルタの王子様は戦うつもりでいた。
エントリーの手段とかは結構適当だし、
ダブルおよびチームの場合、
負けてしまったチームからメンバーをスカウトもできるが、
スカウトの必要もない。
信じられるのは札をとるこの手。
そして、己の反射速度。
伊達に神速といわれているわけじゃない。
でも、みんなにハードルをどんどんあげられるのはどうかとは思う。
「…まぁ、祭りだし」
祭りだから、ちょっと騒ぐのもよし。
今年も適当にやって、適当な位置をキープして、
積んであるゲームでもしないとなぁとカルタの王子は考える。

シングルだけじゃ面白くない。
ダブルもチームも、全部掻っ攫ってやろうかな。
カルタの王子様は遊びに行くくらいの余裕綽々で会場に向かう。

カルタの王子様は、仮面をまとい、
一応ばれていないものだという、前提のもと、
ユックであることを一応隠す。
マジカル・マイとかに出ていたけど、
あれは一応カルタの王子様として。
ユックは出ていないはず、
パンダと眼鏡の店はCMで出ていたけど。
気づかれていないことを願いながら。
そもそもハリーがなぁと、頭の中でぶつぶつと。

カルタの王子様は、
とりあえずばれていないことを気にしながら、
熱気渦巻くカルタ大会会場に向かった。


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