ダブルの実力


さて、それから。
予想にたがわず、カルタの王子は見事シングルの優勝を掻っ攫い、
舞台はダブルになる。
先にカルタの王子がいっておいたように、
パンダ店長が一応カルタの王子と組むことになった。
その実力未知数というか、
パンダ店長は取る気があまりないらしい。
ドクターストップも、おふざけではないのかもしれない。

ダブルもカルタの王子の実力でほぼ勝ち抜く。
パンダ店長はあまり動かない。
置物かと思うと、時々、
「ほほほ」
と笑っていたりする。

次の相手は、サンダーとルルのコンビだ。
ルルは弦楽器を引っ張り出す。
補佐に徹するタイプかとカルタの王子は判断する。
楽器ということは、読み上げる文章を邪魔するか、
あるいは別の何かか。
まさか楽器でカルタの配列を邪魔することはあるまい。
爆音を作るくらいは想定内ではあるけれども。

「コピーではありますけれど」
ルルは静かに弦を鳴らす。
「世界最高のベーシストの曲は、脳をダイレクトに揺らします」
「ダイレクト?」
「はじめればわかります」
カルタ台が開始を宣言する。
ルルが重低音を奏で出す。
アンプ内蔵なのか、やけに響くし、ぐらぐらする。
めまいのような、眩みのような。
見ている札が歪む。
判断が鈍る。

「パンダちゃん」
カルタの王子がパンダ店長に声をかける。
「へいほー」
「気分はどうよ」
「いつもどおり。頭が痛いね」
「だめもとで聞く、レパートリーは何があるか?」
「うーん」
パンダ店長は考え、
「今流行のなんてどうだろうねぇ」
「何でもいい、ぶつけてくぞ」
「いやはや、それじゃ」
パンダ店長は深呼吸。

「しろいーマットのー、じゃーんぐるーにー」

高らかに歌い上げられるタイガーマスク。
パンダ頭でタイガーもないだろうと突っ込みをするものは、
残念なことにこの場にいない。
とにかく、世界最高のベーシストの曲に、
無駄にとぼけたタイガーマスクが立ちはだかる。

「そ、そんな、なぜ」
「ルルさんがんばれ、脳を揺さぶれば勝ち目はある!」
「でもダーさま、パンダ店長、札は取らないけれど確実に相殺してくる!」
音楽の嵐の中、
カルタの王子は確実に札を取る。

対サンダー&ルル戦
カルタの王子&パンダ店長の勝利


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