ネタは喜び


ムダヅカインはサンダーの飯店に居つき、
ルルとワガにゼニーのつかい方を教えた。
ゼニーの力は、生産と消費の間で生まれる、
目に見えない力。
その力が心を揺さぶったり、
あるいは物理的な力になる。
心の持ちようで、ゼニーはいかようにも変わる。
ゼニーとは、流れるものだ。
天下をめぐり、潤していく力だ。
それを止めてはならない。
あるがままにあれと。
ムダヅカインは説く。

いつものようにゼニーの使い方を学んだ、
ルルとワガが飯店に帰ってくる。
「どうです?」
サンダーが飲み物を出しながら、成果を問う。
「理屈じゃないわね。でも、面白い」
ルルは不敵に笑う。
「戦うのは正直不安かな」
ワガはおっとりと答える。
あとからムダヅカインが入ってくる。
「飲み込みが早いね、彼女たちは」
「そうですか。彼女達で世界が変わるのですか?」
「いや…あと数人戦う者が必要と感じる」
「出会えるでしょうか」
「金が流れるがごとく、だよ」
ムダヅカインは微笑んだ。

「サンダーマスター」
高らかに声がする。
皆が入り口のほうを見る。
そこには、緑のチャイナ服に身を包んだ、妙齢の女性が。
「あら、なんだかにぎやかね!あたしも混ぜて!」
「アズさんお久しぶり、何か見つけたかい?」
サンダーはコーヒーのドリップを始める。
「そう!もう、ネタものと見るとお財布の紐が緩んでね」
「アズさんはいつだってそうですね」
「いいじゃない。金はあるうちが花。死んだら使えないもの」
アズはからから笑う。
「ネタに走って何が悪い、よ」
アズは一瞬真顔になる。
直後に笑い出す。
「それで、何を見つけましたか?」
「豚のきぐるみのお店を見つけたのよ!もう、ネタでしょってくらい!」
アズは見つけた意味不明なものに、
どれだけ愛着を持っているかを語る。

「どうです?」
サンダーは、ムダヅカインに話を振る。
「…ひかれあうものかな」
「そうかもしれません」
ムダヅカインとサンダーはわかる。
コーヒーを運ぶエノは、皆の顔を見比べて、首をかしげる。
「アズさん、とっておきのネタがあるんですけど」
「え?なになに?」
ルルは微笑み、ワガは困ったような顔をする。

勇者三人目。


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