リーダーの器
散財戦士サンザインの候補となるものは、
こうして四人になった。
ムダヅカインは、
ひかれあう、けがれなきゼニーの力に感嘆しつつも、
ひとつの不足を考えていた。
それは、リーダーの不在。
ムダヅカインは、サンザインという戦士たちを束ねる、
リーダーが必要だと考えていた。
ムダヅカインは町に出た。
昔は活気があった町も、
質素倹約が進んでからは、
見る影もないほど寂れてしまった。
この町に活気を取り戻すため。
しいては、世界に笑顔を。
それを率先して引っ張る、
リーダーがやっぱり必要だ。
ゼニーの力が少し流れたのを感じる。
それは、隠れるようでもある。
ムダヅカインはあたりを見る。
一人、サングラスの男がいるあたり。
感じる限りではその向こうかもしれない。
隠れるようであるのが気にかかる。
シッソケンヤークの罠かもしれない。
それでも、と、ムダヅカインは思う。
感じるゼニーの流れは、
けがれなきそれだったと。
ムダヅカインは、サングラスの男に近づいていった。
男は、にっこり微笑んで見せた。
「地下バーにようこそ、ダンパの真っ最中ですよ」
「地下バー?」
「ええ、騎士団のダンスパーティーです」
ムダヅカインは当然そんなものは知らない。
「表立って派手なことをできない連中が集うんです」
サングラスの男は説明する。
「団長がいろいろ、計画してくれて、みんなをまとめているんです」
「金はたくさん使うのかい?」
「団長は太っ腹ですよ」
サングラスの男は笑う。
「申し遅れました、僕はラクといいます」
「私はムダヅカイン」
「どうぞ、ここから下です」
ラクは下への階段を示した。
階段を下りると、
そこは音と彩りの洪水だ。
男女問わずに飲み、食い、踊り、
生きることをぶつけている。
激しいせつなの消費。
質素倹約に反する、荒々しいうねり。
「よう」
ムダヅカインに声がかかる。
「俺が団長のヘキだ」
一見普通の青年に見えるが、
にじみ出るカリスマ、そして、
けがれなきゼニーの力。
その力はムダヅカインの感覚をしても未知数。
膨大な消費の上に、ヘキはいる。
ムダヅカインは感じる。
これがリーダーだと。
「世界をおどらせてみないかい?」
ムダヅカインは言う。
ヘキはにやりと微笑んだ。