覚醒のコイン


飯店に五人の戦士が集まった。
そのゼニーの力は共鳴し、
高次元の境地に高めんとしているようでもあった。
「すごいな」
ヘキはそうつぶやく。
「金のにおいがしているやつらはいる。でもな」
「でも?」
アズが問い返す。
「でもな、使ってるにおいのするやつってのは、いないもんだ」
「そうかもね」
「ここの連中は金遣いがすごいんだろうな」
「あんたもそうなんでしょ、リーダー」
アズはリーダーのそこを強調していってみる。
ヘキは苦笑いした。
「まだ慣れないんだ。勘弁してくれ」
「そのうち慣れるわよ」
アズはからから笑った。

ムダヅカインは、彼らを引き合わせたあと、
飯店の奥に引っ込んでなにやらしているらしい。
ゼニーの力が流れているのは感じるが、
肝心の何をしているかは、彼等にはさっぱりだ。
サンダーがコーヒーを出し、
彼等は軽く自己紹介をしたりする。
彼等は打ち解け、たわいもない雑談から、
ゼニーの力とは何だという話をしたりする。

「思うに、基本的にゼニーに善も悪もないのでは?」
プロヴィニがそう言い出す。
「ゼニーは世を潤すべきかもしれない。でも」
「でも?」
ヘキが促す。
「潤すほど僕達に力があるとは思えないのです」
「そりゃまぁ、そうだなぁ」
「逆に潤しすぎても、困ったことになるでしょう」
「ふむ」
「心持次第で、この力は変わると思うんです」
「なるほどなぁ…」
ヘキは天井を見ながら思う。
世界を変えるほどの力は、
果たしてあるのだろうか。

飯店の奥から、ムダヅカインが出てくる。
「できたぞ」
短くそう言う。
「ねぇ、なになに?」
アズが駆け寄っていく。
「君達のウェイクアップ・コインだ」
「コイン?」
「これを使うと、ゼニーの力が解放され、変身ができる」
「変身?」
アズは目をぱちぱちさせる。
ほかのメンバーも似たような反応だ。
「これを使って、世界を変える戦士、サンザインになってもらいたい」
ムダヅカインはコインを放り投げる。
コインはみなの手にすとんと収まる。

「散財戦士サンザイン。それが今日からの君達の名前だ」

ゼニーの力は共鳴する。
正義の散財を目指す彼らに、
悪の足音は近づいてきている。


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