誰かの喜び
新作のスカジャンを仕上げ、リカは満足げに笑み。
いろいろな服を作っているけれど、
みんなが着てくれることを考えると、どんなものでも作れそうな気がする。
確かに、対価としてお金はもらっていて、
そして、気に入らないやつには吹っかけたりもするけれど、
リカが服を作る原動力は金でなく、
あくまで、喜んでもらえることかなと思う。
サンザインアクアのリカ。
腕のいい服職人だ。
呼び出しがあればサンザインとしても戦うけれど、
本職は職人。
そこはきっちりしなくちゃなと思う。
あんまり呼び出すようなら追加の料金取るよと、リカは思うけれど、
そもそも誰に言ったらいいものか。
ムダヅカイン?
今どこにいるのやら。
というか、生きてるのかな。
シッソケンヤークが、質素倹約を推し進める怪人を町に放って、
サンザインとたびたび小競り合いになっているという。
以前のように派手にやりあっている訳ではないけれど、
それが逆に不完全燃焼で、不満がたまる。
リカにとって、そういった不満を昇華させるのが、
服つくりであり、あるいは、散財である。
今回はいい感じのスカジャンを作ることができた。
不満は心地悪いから不満であるけれど、
満足ばかりじゃ物事はすすまないね。
リカはちょっとポジティブに考えようとする。
ゼニーの力が、質素倹約で滞っているという。
それから、マネーの力という、ゼニーの物真似みたいなのが、
同じく質素倹約からなる経済の停滞で滞っているという。
リカは全部を知っているわけではないけれど、
噂で聞く限り、マネーの力とされるものは、
よくないものがコピーをしておこるらしい。
金の流れが滞るのが善という流行。
シッソケンヤークというのも、ずいぶんがんばってるものだ。
でも、散財キャンペーンをうつ気にはならないものだ。
リカの服を買ってくださいという宣伝をうつ気ならあるけれど、
まとめて全部買ってくださいとは、ちょっとなぁと。
リカの原動力は喜び。
誰も喜ばないことは、好きじゃない。
金はあるところから取る。
ないところはしょうがない。
持ち金相応の金の流れというものがあり、
相応次第に散財すれば、それは喜びに近くなる。
幸いリカの服は評判がよく、
リカは心地いい散財ができる。
サンザインとしてのゼニーの力も上がる。
それは購入してくれるみんながいるからで、
小さな散財も、確実に力になる。
リカは、リカの服が力になるこのシステムが嫌いでない。
腕を認められている。
服職人としても、サンザインとしても。
リカの元に金はめぐり、
作ること、店に並ぶこと、散財すること。
それは、リカの元で綺麗な流れを作る。