マネーの虎


疾走するチンが、ゼニーの力を回し始める。
突風に乗るイモが、ゼニーの流通をつかさどる。
ムダヅカインはかつてないほどのゼニーの雄たけびを感じる。
龍の雄たけびのようであり、
また、どこかの未開の地での、戦士の雄たけびのようでもある。
ムダヅカインは友人を思い出す。
知らず笑みがこぼれる。
「さぁ、もうひといきじゃっ!」
散財の戦士たちに力は宿り、
町を駆け抜けていくゼニーの力は、さながら龍だ。

一方のマネーの力の、量産型サンザインは、
マネーの力を一点に集中し始めた。
分散させた物真似では勝ち目がないと、
誰かが判断したのかもしれない。
それに倣うようにマネーの力は集中して、
一匹の獣の形を取る。
それは虎、青い虎の姿をとる。

量産型サンザインは霧消して、
巨大な青い虎があらわれる。
マネーの虎というわけかと、誰かが思ったかどうか。
ゼニーの龍とマネーの虎は対峙し、にらみあう。
虎が大きくほえる。
龍は雄たけびを上げる。
虎は龍に噛み付こうとする。
龍はひるむことなく、虎におどりかかる。
巨大な力と力の戦い。
三賢者はゼニーの力をフル回転させる。

一人一人の戦士、
それはサンザインであるものないもの、
この町の誰かからも、
大事なゼニーの力が届き、
龍を動かす力となっている。
「やってやれ、サンザイン!」
ムダヅカインが叫ぶ。
流れる力のままに、サンザインは龍を使役する。
サンザインレッドは、龍の頭に乗り、
大きなゼニーの力のブレードを発生させる。
「消えろ!物真似しかできないやつらなんて!」
レッドは跳躍する。
龍の頭からブレードを振り下ろし、
青い虎を縦に切り裂いていく。

絶叫。
巨大な虎の、それが最後の絶叫。
虎の輪郭は徐々に薄れ、
青いコインがばらばらと降ってきては消える。

やったか、そう判断するにはまだ何かが足りない。
青いコインが降るのを見ながら、
ムダヅカインは次に何がくるのかをつかみかねていた。

まだ、ガタリは姿も現していない。
そして、この青いコイン。
もしや、と、ムダヅカインは思う。
(もしやこのコイン、サンザインのコインを砕いたものではあるまいな)
元がサンザインブルーのコインであるならうなずける。
サンザインの真似であることも、
マネーの力を使うということも。

マネーの虎は消え、青いコインは町に降って消えた。
まるで、雪か何かのように。
町に吸収されたかのように。


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