最後の戦い


最後は己の鼓動に聞くものだ。
ビブはそういう気持ちで戦いを見守っていた。
自分の力量がわかっている正義のヒーローなんて、
いたらそれはそれで気持ちが悪い。
爆発しそうな鼓動の心、それだけわかればいいのかもしれない。

魂ねじ込んでやれ。
サンザインパープルのネジが、
実態の希薄なガタリに向かって突っ込んでいく。
届かないのなら何度でも、
この魂ねじ込むまで、何度でも。

正義が勝たないで誰が笑うってんだ。
サンザイングリーンのアズが、ばあちゃんの言葉を思い出す。
曲がりなりにも正義のヒーローならば、
勝ってみんなを笑わしてあげなよ。
偉大なばあちゃんの言葉を、胸に刻みつけて。

太陽は何度でも昇ります。
ラクは空飛ぶバイクの後部座席にレッドを乗せていた。
レッドはガタリに切りかかり、
ラクは神業的操縦でレッドのサポートをする。
この黒い悪が晴れたら、必ず太陽は昇るはず。

守らなくちゃならないものがある。
サンザインレッドのヘキが、バランスを崩してラクのバイクに落ちる。
まだまだ、この程度でおさまってたまるものか。
ガタリはやっつけないといけない。
みんなの笑顔のために、大切な人の笑顔のために。

最後に胸を張れているか。
グリフォンはそれをまず考える。
家族のように過ごしていた奇妙な悪役。
死ぬ気でいるわけでない。ただ、胸を張りたい。
こんなに強い連中と戦えたことに、今ともに戦っていることに、誇り。

信念ってものがあるんだ。
サンザインブラックのプロヴィニのすぐそばで、ヨーマ少年が援護をしている。
ヨーマ少年はちらりとブラックを見て、それ以上は何もいわない。
お互い信念があるんだ。ブラックはそれがわかる。
もし生きて帰れたら。そのときはいろいろと話しそびれたことも話そう。

笑顔のためって言うのも悪くないね。
ハリーは後方から援護をしながら戦う。
どこかの王子様が不機嫌そうな顔を向け、ハリーはニヤニヤ笑って返す。
大丈夫僕らは主役じゃないよ。
誰かの笑顔のための、スパイスだからいいんじゃないかな。

誰かのため、自分のため。
悪に立ち向かう誰かと誰か。
その彼らの前に、ガタリは気味の悪い大きな顔として立ちはだかっている。
倒せるのか、それはどうやって。
今はただがむしゃらに突っ込んでいっては流される。
いたずらにゼニーの力は消費される。
まだ突破口は見えない。


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