くだかれる


ゼニーの力が目に見えて減ってきている。
ヒーロー達は目に見えるガタリ像と、目に見えない絶望と戦い続けていた。
攻撃は当たらない。
どんなに強い技を仕掛けても、効果がない。
量産型サンザインが増幅したマネーの力、
そして、ヒーロー自身の不安や焦りなどといった負の力をエネルギーにして、
ガタリは薄気味悪くそこにいる。
ガタリは何もしていない。
ただ、子供が虫でも殺すように、
じたばたあがくのをニヤニヤと見ているだけだ。
『ヒーローとはこの程度なのかな?』
ガタリは笑う。
『ヒーローは勝てなくちゃ意味がないじゃないか』
『もう少し骨があるものと思っていたんだがな』
『君たちにはヒーローを名乗って欲しくないね』
『わかるだろう?君たちは未熟で弱いんだ』

ガタリの大きな顔から黒の炎が放たれる。
一般人を狙ったその攻撃を、
ヒーロー達は捨て身でかばう。
邪気の塊が身を走る不快以上の苦痛。
身体は重く、邪気をまとった炎で、身は傷つき、
そして、

パキ

何かが、壊れる音。

変身が強制解除され、彼らのコインが、からからと意味を成さないものになり、
町に吸い込まれるようにこぼれていく。
変身の手段すら、なくなった。

『とうとうサンザインですらなくなったわけだね』
ガタリは愉快そうだ。

「いや、俺達はサンザインだ」
ヘキが、壊れたコインを風に乗せ、啖呵をきる。
『誰がそれを証明する。変身のできないヒーローなんてただの人でないかね?』
「普通の人がヒーローになれる可能性。それがサンザインの心だ」
『それでは何か、なんでもサンザインになりうると?』
「心さえあればみんなヒーローだ。俺はそう思う」

「言うね、リーダー。結婚を控えてる男はかっこいいね」
アズが茶化す。
「散財できれば心にサンザインのコインがあるのよ」
ルルが言う。
「誰かのために、自分だけでない誰かのために」
ワガは少し控えめに。
「まだまだ負けられませんね。まだサンザインだと信じていますから」
プロヴィニが微笑む。

ムダヅカインは、ハサーンの足音を聞いていた。
ゼニーの力のなくなったところにあらわれる、
破滅のハサーン。
ムダヅカインは一人でそれを止めようとしていて、
そして気がつく。
何か。強大な何かが、
ハサーンすら超越する何かが、
色とりどりの力の流れを作ろうとしていることに。
ムダヅカインは気がついた。
「ガタリ!貴様の負けじゃ!」
ムダヅカインは叫んだ。


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