人のつながり物のつながり
時間軸が錯綜しているが、
大体この物語の時間軸は、クーロンのできて間もない頃である。
クーロンの町が出来て間もない頃。
その頃は、人のつながりが親密だったわけでなく、
何度か言っているかもしれないが、
金の流れが龍脈になるほど活発なわけでもなかった。
人は少しずつ思い出のクーロンのことなどを話し、
ぽつぽつと知り合いを作っていった。
そこにおいてのサンザインプロトである。
町のあちこちで物が消えるのを阻止するヒーローだ。
住民同士で、情報の交換が少しずつおこなわれるようになる。
手に入れたものが、作ったものが、
消されるなんて、たまったものじゃない。
まだ金のめぐりがよくない。
だからこそ、持ち物を、財産を、守らなければならない。
住民はヒーローに味方した。
住民の団結力が徐々に発揮されるようになる。
クーロンという少し特殊な町において、
かすかな縁が強い絆になっていく。
助けあい、学びあい、
店に訪れ、物を買い、
その物を大切にする。
少しおせっかい焼きのクーロンの住民。
もはや、彼らは思い出だけでつながっているわけではない。
クーロンの町は、思い出だけを語る場でなく、
ひとつの町としてきちんと機能し始めた。
それは、クーロンズゲートの世界とは少し違うかもしれない。
その世界を求めてきたものは、面食らうかもしれない。
それでも。ここはクーロンの町だ。
多分これからも変わり続ける、魅力的な町だ。
サンザインプロトは今日も走る。
住民の声援を背に受けて。
これから新しい住民が来るのかもしれない。
それならば、物が消えるなんて不安は取り除いてから、
それから新しい誰かを迎えたい。
どんな人が来るだろうか。
そして、その頃には、
もっと金のめぐりがよくなって、
パーッと散財なんてできるだろうか。
サンザインの名に恥じない、散財ぶりを見せることもあるだろうか。
サンザインプロトは願う。
明るい未来を。
笑顔を、喜びを。
物を作ることがばかばかしくならない明日を。
その情熱が認められる世界を、サンザインプロトは願っている。
だから走れる。
だから、戦える。