無限大の情熱


イレイズはサンザインプロトたちの攻撃をことごとくかわす。
あらかじめわかっていたかのように、
それはまるで、プログラムされていたかのように。
サンザインプロトも、全力だ。
全力を出してもなお、姿を得たイレイズに届かない。

『この程度なのか』
イレイズは言う。
『この程度で物の情熱を語っているのか、お前達は』
そんなことはない!と、拳を繰り出す。
ひらりとかわされ、転倒し、
がらくたが襲い掛かる。
僅差でよけて、がらくたは地面で大破する。

この程度なのか。
この程度じゃない。
もっと、もっと、やれる。
やれるはず。
でも、と、心のどこかが否定をしそうになる。

「がんばれー!」
サンザインプロトたちの耳に、声。
「負けるなー!」
振り返れば、クーロンの町の住民が、
遠巻きではあるけれど、応援している。
「サンザイン!サンザイン!」
「サンザイン!サンザイン!」
住民の声が、サンザインを鼓舞する。

この声も背負っている。
クーロンの未来をも背負っている。
だから負けられない。
勝利を奪い取るくらいの気持ちでないといけない。
この程度じゃない、
まだいける、まだ、戦える。

サンザインプロトたちは、感じるものがある。
住民達が宿している、
物を作ることの情熱。
そして、今まで作ってきたものの重み。
(感じるか)
コインが問う。
サンザインプロトはうなずく。
(しとめそこなったら終わりと思え)
コインの言わんとすることが、サンザインプロトにはわかっている。

サンザインプロトたちは、イレイズに向き直る。
そして、変身を解く。
『何をするつもりだ?』
彼らはコインを高く投げる。
コインは最後の力を使う。
それは、住民の背負った重さを重力に、
持っている情熱を熱量に変換する力。
重力と熱量の塊を、
コインは作ろうとしている。
コインは空中でくるくる回り、
無限大の情熱を巻き取る。

膨大な重力と、無限大の熱量。
がらくたを引き寄せ、ひとつの塊に。
3つのコインの一点にそれが集まる。
イレイズは理解した。
『ま、まさか…』

「ここからすべてが始まる!サンザイン・ビックバン!」

サンザインプロトの切り札が、炸裂する。


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